MS法人設立のメリット・流れ・要件・注意点
MS法人設立のメリット・流れ・要件・注意点
MS法人とは
メディカルサービス法人といい、医療関係のサービスを行うことを事業目的とした法人の総称。法律上の制度ではない。 会社(株式会社や合同会社)形態をとり、営利を目的とすることができる。設立に監督庁の認可が必要ない(通常の会社と同じ手続で設立できる)。
もっとも行う事業によっては、その事業を行うために許認可が必要となる場合があるので注意。
※化粧品や医薬部外品の製造販売、医療機器や医薬品の販売等※
MS法人が単独で存在し、活動を行っていることは少なく、多くの場合、医療法人や病院などと関連性を有し、取引などを行っている。
MS法人を作るべき場合
ビジネスの実態がある場合
医療法人法人で持てない財産があるとき
(複数の車、不動産をもっている)
すでにサービスを提供している場合で医療法人化をしない人の場合
(役員の兼任ができないので、将来医療法員を作る際にMS法人を休眠化しなければならない。そこで、将来的に医療法人を設立するつもりがなければ、MS法人を作って所得の分散を図ることができる。)
趣旨(メリット)
(1)医療営利事業を行うことができる。医療法人は、医療行為を行うための法人であり、営利事業を行うことができない。
医療法人や病院に対して病院土地や建物を賃貸したり、備品の販売、医療機器のリースを行ったりすることができる。
(2)節税が期待できる。
所得が大きくなるほど、節税効果が期待できる。
個人事業主の課税所得(累進課税制度)
900万円を超えると税率33%
1800万円を超えると税率40%
法人(二段階比例税率)
800万円以下では税率22%
800万円を超えると税率30%
800万円を超えた部分の利益をMS法人に移行して、軽減税率を2枠分確保する。
・院長先生および家族の所得が給与になるので給与所得控除を受けることが出来る。
(サラリーマン化および所得の分散化)。
・親族を役員として、個人開業医では支払えない額の役員報酬及び退職金を払える
・消費税(設立から二年間免税、その後も売上千万円未満であれば免税。
・MS法人に不動産を集めることで相続税対策
(3)資金調達の多様化(MS法人にしかできない資金調達)
・増資、種類株式の発行
・私募債の発行
・従業員持株会の発行
・会社分割
・手形割引
(4)役員について医師資格が不要。
設立要件
(1)資本金:1円以上
(2)出資者1人以上
(3)役員1人以上
設立手続きの流れ
・法人の基本的事項の決定
↓
・定款の作成、公証人の認証
↓
・設立登記の申請
↓
・税務署等への届出
ご準備いただく必要資料
・役員就任予定者様の実印・印鑑証明原本1通(取得日から3ヶ月以内のもの)
・役員就任予定者様の写真付き身分証明書(写しでOK)
注意点
(1)役員構成
MS法人の役員と、医療法人の理事等の関係者が就任していることが多いが、兼任について注意が必要。
例
・医療法人の理事長とMS法人の代表取締役が同一人物
利益相反の可能性があり、医療法人の非営利性を失わせるおそれがある。
また、民法の双方代理の禁止に反するおそれもある。
下記の場合も同じく危険
・理事長が取締役を兼務
・理事が代表取締役を兼務
・理事が取締役を兼務
※平成24年3月30日通達
【個人開業医の場合】
1.開設者である個人及び当該医療機関の管理者については、原則として当該医療機関の開設・経営上利害関係にある営利法人等の役職員を兼務していないこと。
ただし、次の場合であって、かつ医療機関の非営利性に影響を与えることがないものであるときは、例外として取り扱うことができることとする。
また、営利法人等との取引額が少額である場合も同様とする。
・営利法人等から医療機関が必要とする土地又は建物を賃借する商取引がある場合であって、営利法人等の規模が小さいことにより役職員を第三者に変更することが直ちには困難であること、契約の内容が妥当であると認められることのいずれも満たす場合
【医療法人の場合】
2. 開設者である法人の役員については、原則として当該医療機関の開設・経営上利害関係にある営利法人等の役職員を兼務していないこと。
ただし、次の場合(開設者である法人の役員(監事を除く。)の過半数を超える場合を除く。)であって、かつ医療機関の非営利性に影響を与えることがないものであるときは、例外として取り扱うことができることとする。
また、営利法人等との取引額が少額である場合も同様とする。
・営利法人等から物品の購入若しくは賃貸又は役務の提供の商取引がある場合であって、開設者である法人の代表者でないこと、営利法人等の規模が小さいことにより役職員を第三者に変更することが直ちには困難であること、契約の内容が妥当であると認められることのいずれも満たす場合
・営利法人等から法人が必要とする土地又は建物を賃借する商取引がある場合であって、営利法人等の規模が小さいことにより役職員を第三者に変更することが直ちには困難であること契約の内容が妥当であると認められることのいずれも満たす場合
・株式会社企業再生支援機構法又は株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法に基づき支援を受ける場合であって、両機構等から事業の再生に関する専門家の派遣を受ける場合(ただし、開設者である法人の代表者とならないこと。
(2)事業内容の実体性と客観性の確保
事業目的や事業内容について明確にし、それに沿った事業を行う。
特に、診療所や医療法人との取引は、必ず契約を締結し、妥当な委託料金で取引する。
不相当に高額な委託料金の場合、経済上の利益の供与があったとみなされるケースがある。
活用方法
・福祉用具の販売・レンタルを含んだ介護事業サービスを行う
・土地建物を所有し、有効に活用する
・経理業務、受付窓口業務、診療報酬請求業務を行う
・売店、食堂、カフェ
・医療機器、車輌等の販売、レンタル、リース
・ベビーシッター、保育士を常駐させる
・労働者派遣事業を行う
・別に収入がある場合、複数収入がある場合に収入を移す
・高齢者向け賃貸住宅や障害者向け賃貸住宅を運営する
・MS法人で人を雇用して業務委託する